【003】第2のスタート

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バブルが崩壊して、日本の経済は一向に回復せず当時は”失われた10年”と呼ばれていた(不景気はさらに続いたが。。)

そんな時世に就職求人はなかなか見つかるはずもなく、
私は現場の仕事を探すことにした。いわゆるガテン系だ。

電気関係の仕事を主に探した。

なぜだろう?電気関係で惨敗したのに。

これまでを振り返ってみたときに、前職での経験はやはり悔しかった。

そこで本格的に電気の技術・知識を磨きたいと思う気持ちになっていたのだ。

それでも、なかなかいい求人は見つからなかった。

そんな中、妻がたまたま見つけた求人広告に目がとまった。
電気工事の会社だ。
都内のデパート、テナントなどを対象に幅広く活動しているようだ。

早速面接へと向かう。今度は家の近くというわけにはいかないが。

採用の条件が告げられた。

1.高所が大丈夫なこと
2.2週間程度、家を空けても大丈夫なこと

私は、高い所は苦手ではないし、2週間くらい家を空けても大丈夫だ。
私は特に妻に相談することなく即答する。

「即採用」パチパチパチ!!

。。。。。。

「聞いてないよ!!」
「こんな高いところで作業するなんて!!」

その会社の最近の主業務は、携帯電話基地局のアンテナ敷設だった。

まだ、携帯電話が普及し始めた頃だ。

私の最初の仕事はまさかの50mの鉄塔の上。
それもさらに山の上の。。

高いところは大丈夫とは言ったが、いつ足を滑らせてもおかしくなさそうな細い骨組みの鉄塔の上。

いや、さすがに怖い。

上にいるだけで怖いのに、そこでさらに作業しなければならないのだ。

胴綱という安全帯を付けるのだが、どうしてもその胴綱が信用できない。
身を任せることができないのだ。

もしこの胴綱が外れたり切れたりすれば、50m下へまっしぐらだ。

どうしても両手離しできず、片方の手でしっかりと鉄柱を握ってしまう。

地上では無かった風もビュービューと吹いているのだ。

まさに手に汗握る状態。

駄目だ、これでは作業できない。頑張れ自分。

こんな私に現場の連中の目は冷たかった。

本当にここでやっていけるのだろうか。

-「ひとり情シス」の独り言

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