【006】転

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このブログの趣旨は、一人情シスとして苦労した部分を
皆さんと共有できればと書き始めたのですが、
完全に前段で停滞しています(苦笑)

この時の話を引っ張るつもりは全くありませんでしたが、
執筆しているうちにあの時の情景が思い浮かび、
いつしか熱くなってしまったのかもしれません。

そして、前回のブログを書いていたら当時のことが鮮明に記憶によみがえり、
感情が高ぶってしまい、筆が進まなくなってしまいました(汗;)
よくも悪くも人生の中でインパクトのあった1ページだったので。。。

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私はこれまでいろいろな経験をしたし、怖いものはあまりないつもり、だった。
しかしこの現場は、何かあれば一瞬で命を落とす可能性があるのだ。

やはり怖い。

妻や娘を背負った私は保守的になってしまったのかもしれない。

あれ以来舟串の嫌がらせはおさまっていた。
さすがに我々の怒りを感じたのか?
はたまた、本当にまずいことをしたと反省しているのか?

まあ相沢君も大した火傷とかなかったので、いったんは平常に戻った。

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現場はいつも2台のハイエースで行動した。

1台はリーダーの萩谷さんとナンバー2の舟串が乗り。
もう1台は私と最近気が合うナンバー3の相沢君、ナンバー4の堀君だ。
この頃には、堀君よりは私のほうが実力は上だろうと思った。
とにかく実力主義。それで給料が決まる体系になっているのだ。

しばらくしてから相沢君とよく話すようになった。
舟串からの風当たりが強い相沢君だが、決していじめられるタイプではない。
むしろ逆である。年齢は私の5歳くらい下で身長は170cmくらいだが、
とてもがっちりとした体格だ。
そもそも見た目も茶髪で結構こわもてなのだ。
街中で会ったら誰も近づかないだろう。

最初はよそよそしいかったが、それでも私が年上だということで、
敬ってくれていることがわかった。

色々話すうちに、奥さんや息子がいることもわかった。
私よりも若い時の子だろう。
また、とても愛妻家であることも知った。

少し前まではかなりヤンチャだったこと、そして多くの失敗を重ねて、
今の仕事を辞めるわけにはいかない事など、長い時間一緒にいるだけあって、
私たちは多くの話をした。

もちろん舟串の仕打ちに対する話も。

私が手を出しそうだった前回の出来事の時。
自分をコントロールできなそうだったあの時。

この相沢君のほうがよっぽど冷静だった。
流石に腹を立てて向かっていってもおかしくない状況だったが。

それでも動じなかったのは、

彼は大人だったのだ。

もちろん仕事を辞めるわけにいかないという事もあるだろうが、
その思いは後から知った。

彼は舟串に対して「あいつはガキだから、甘えん坊だし」
そう言ったのだ。
ある種彼への優しさを感じる言葉だった。

よくよく考えれば、
私が入社するもっと前から舟串、相沢は知り合いなのだ。

相沢君の方が舟串より少し年下だが、
私が知らないだけで、もしかしたら凄く仲がいいのかもしれない。

私が途中から相沢君との間に割って入ったことを嫌ったのかもしれない。

何れにしても私の考えは浅かった。

彼のほうがよっぽどしっかりしていたのだ。

強情な部分も多いが、性根は気の優しい男前だ。

そんな相沢君はリーダー萩谷さんに心底あこがれていた。

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現場をこなす中、私のスキルが上がったこともあり、
キャラバンのメンバーが5人から4人編成になった。
リーダーの萩谷さんが抜けて、他のキャラバンへ異動した。

必然的にこのキャラバンのリーダは舟串になったのだ。

「マジか」私は思った。

寡黙な男だったが、リーダが萩谷さんの存在は大きかった。
もちろん、誰もが認めるその圧倒的な実力のためだろう。

その萩谷さんが抜けるのだ。

こいつ(舟串)、これからどれだけ暴君ぶりを発揮するのだろうか。。

今度は本当に衝突しなければならないのだろうか。

とはいっても舟串は一応社長から認められているリーダー。
それも小口現金も任されているから厄介なのだ。

私だって、そうやすやすと辞めるわけにはいかない。

舟串の動向を考えると、私の心を十分に憂鬱にさせた。

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萩谷さんがキャラバンから抜けて、4人の男の現場が始まった。

移動も一緒、仕事も一緒、食事も一緒。
携帯電話の入らないような場所だだから、
宿も古びた旅館ばかり。
前は5人だったせいか寝る部屋は2組に別れたが、
4人になってからは寝る部屋も一緒。
毎回半月程度は、常に一緒だ。
まったくプライベートなどない。

仮に相手が友人だったとしても嫌になるだろう。
それがに気が合わない人間と一緒にいるのは本当につらい。
多分現場より辛かったかもしれない。

しかしそんな時間が過ぎていく中、衝撃的なことを耳にした。

実は、萩谷が抜けた後は、一気に暴君をふるまうと想定していた舟串の態度は
驚く程一気に軟化したのだ。
そんな舟串との会話は徐々に増えた。

二人で話すことも増えた。

その中で分かった事だが、舟串は萩谷が心底嫌いだったのだ。

私はビックリした。あれだけ一緒に1,2でやっていたのに。。。

そんなそぶりはまったく見せたことがないのに。。。

なぜなのか。私はその理由を知りたくなった。

-「ひとり情シス」の独り言

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