【004】明日は我が身?

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高所作業に慣れるのは意外と早かった。
諦めたというか、割り切ったというか。。

しかし実はこの業務の難しい部分は別にあった。

そう、季節と人間関係だった。

この仕事内容だが、まずは6基のアンテナを50m上のリングに敷設して、その後直径10センチ近くのアンテナケーブルを12本上まで引き上げていく。
そして、固定・端末処理をして完了となる。
一見簡単そうだが、一つひとつのスケールの大きさから、これが結構大変なのだ。

この仕事は月に一度、約2週間の間に3現場を回りおさめていくキャラバン方式だ。
他の日は完全にオフになるから、楽と言えば楽かもしれない。

クルーは5名。
車はハイエース2台。

ただ猛暑だろうが真冬の荒れ狂う吹雪の中だろうが作業は実施される。
さすがに雷が鳴った時は即中断だが。

仕事はもちろん内容別分担制である。
これが問題なのだ。
新人や仕事のできない者は単純作業があてがわれる。

50m上から、下までアンテナ線を固定していく作業だ。
その数ははてしない。結局ひと現場ずっとその作業をすることになるのだ。

そして、この業務の問題点は季節なのだ。

特に極寒の中での作業は痛烈につらい。
私がいまだに冬が嫌いなのは、この時に刷り込まれたトラウマかもしれない。

冬場の休憩時間は最悪だ。
皆が下で暖を取りながら談笑している中、
新米の自分は鉄塔の途中で吹雪の中一人休むこととなる。
下では吹いていない突風が25mあたりでは強烈に襲ってくる。

結局、寒さに耐えられず作業を続けたほうが逆に楽なのだ。

作業は細かいビスなどを扱うため、分厚い手袋などできない。良くて軍手一枚。
場合によっては素手で対応することとなる。

素手の場合は気を付けなければ、ビスや鉄塔に指が貼りついてしまうのだ。
まるで冷凍庫である。
寒さのため目視で確認しなければ、自分の指でビスを掴んでいることさえわからない。

かなり過酷な現場である。

そして、一番の問題が人間関係だ。

どんな社会にもあるように、ここにも明確な序列があった。

寡黙なトップ。
腰ぎんちゃくのナンバー2。
そして、ナンバー3と続く。

私に業務を指導してくれたのはナンバー3のA君だ。

そう、このメンバー、トップを除いては3人とも私よりも年下である。

しかし先輩である。

この仕事は、やめていく者が多いせいか、最初は嫌々教えていた感が否めなかったが、

私が熱心に聞き質問したせいか、すぐに態度を変えて真剣に指導してくれた。

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私の中に衝撃が走ったのは、業務初日の夜だった。

トップとナンバー2がいる部屋に我々3名が呼び出された。

そう、このキャラバン中の宿舎は基本5人一緒のタコ部屋。

良くて、2部屋。

それこそ朝から晩まで、同じメンバーで過ごす。
まったくプライベートはないのだ。
それも強烈な序列の中。

呼び出された部屋で、私に業務を教えてくれた先輩がいじられ始めた。

最初はたわいもないいじりだったが、酒も助長したせいか、悪行は次第に過激になっていった。

そして、zippoオイルをかけられてファイアーだ。
※これ以上は過激な内容なため控えさせていただく。

トップが、重ねた座布団の上に座り、ナンバー2が悪行を仕掛けて笑い飛ばしているのだ。

なんだこの連中。

あしたのジョーの少年院のシーンを思い出す。

しかし、もっと衝撃的だったのは、笑っているのはトップやナンバー2だけではないこと。

被害者であるナンバー3や4もへらへらと笑っているのだ。

何だこれ。中坊のいじめか?

30歳にもなって、まさかこんな経験をするとは思わなかった。

この時私に害が及ぶことはなかったが、これは私への見せしめなのだろうか?

明日は我が身ということか?

-「ひとり情シス」の独り言

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